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医学、雑学、ライフハックなど。「こいつ”使える”な」と思われるような記事を書いていきます。読み方はご自由に。

【眼福】眼科研修医になると決めたら読むべき10冊!(暫定版)

こんにちわ。眼とインターネットに詳しい芸風でやらせていただいております、かたぐら子と申します。

 

自己紹介として、代表作を並べていきます。

 

kmshzr-im.hatenablog.com

 

堂々たる布陣・・・!

 

今回は眼に詳しいと自負するだけの根拠として、私流のオススメ本を10選として紹介したいと思います。

 

というのも、某制度により内科忌避が起き、眼科志望の医師が増えていると聞いてましたし、昨今の医師のブログブーム(※個人の意見です)の勢いで、インターネットの世界では、さぞ眼科オススメ本紹介ブログで溢れかえっているかと思いきや、案外そうでもなかったからですね。

 

私も数年前は「眼科 研修医 おすすめ 本」などで検索し、下記のようなサイトを参考にし、せっせと読書に励んでおりました。

 

 

▼参考サイト

www.m2plus.com

pro.kinokuniya.co.jp

lifehack-by-a-young-eye-doctor.net

xn--1-19t205kpxao3y8re6uu3x0f.xyz

 

今(といってもほんの数年なのですが)見返してみると、私の思いつくラインナップは先人様のオススメとも少し異なってきたなと感じております。

 

私の背景は「専門医資格の取得を目指し、広く浅く眼科一般なんでもやる若手」です。

 

一言で眼科といえど範囲は広く、求められる知識や手技は地域や施設によってバリエーションがあります。医局ごとに掲げる専門外来の看板も異なるでしょうし、誇張抜きで世界最先端の治療を行っているところもあるでしょう。

 

 

ポケモンで喩えると、イーブイがやっと進化したと思ったら実はまた更に進化先がいくつもあったような感じです。

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眼科研修医はいわば進化したと思いこんでるイーブイの状態であると言えるでしょう。

 

 

着いてこれてますか? まずは初歩として、各々の専門性に着いていくための基本的な本として10冊ピックアップしてみました。対戦お願いします。

 

 

 

▼目次

キーワード:眼科、研修、眼科研修医、おすすめ、オススメ、本、書籍、参考書、専門書、専門医

 

なお、Amazonリンクを貼っていきますがアフィリエイト目的ではありません。親切心です。

 

 

1.病気がみえる vol.12 眼科

病気がみえる vol.12 眼科

病気がみえる vol.12 眼科

  • 発売日: 2019/06/28
  • メディア: 単行本
 

 

「コイツ浅っせぇわ……!」とブラウザバックする気持ちは抑えてください。

 

病みえを笑うものは病みえに泣きます。意外と馬鹿にはできません。白字の部分を隅々まで読んでますか? 左端にあるWords&termsまで目を通してますか? 指導医が教えてくれる専門的な知識も、ちゃんと探してみると意外と病みえに載ってます。

 

眼科はイラストと相性が非常に良い分野です。2019年発刊と新しいため、掲載されている画像も高性能カメラによる解像度の良いものばかりです。映りの悪い写真を一生懸命に見て初見を探すよりも、鮮明な写真を見れば一発なことが多々あります。

 

また、下の方に載ってる英語集にも驚くほど助けられます。眼科、英語や略語ばかりですからね・・・。

 

なお、等しく学生の間にも知られているであろう

 

標準眼科学 第14版 (Standard textbook)

現代の眼科学 改訂第13版

 

については、私は研修医になって初めて読んだのもあり、あまり得るものはありませんでした。や、学生のうちに読んどけって話ですが。

 

既に所持してる優秀な方なら、無理して最新刊を買わなくてよいのではないかな~と個人的には思います。

 

ちなみにいくら名前が似ているからといって、間違っても『眼科学』なんて高級品を買ってはいけません。それを背負うにはまだ早い。

 

 

 

 

 

2.眼科研修ノート

眼科研修ノート 改訂第2版

眼科研修ノート 改訂第2版

  • 発売日: 2015/04/21
  • メディア: 単行本
 

数ある研修ノートシリーズ(診断と治療社 | シリーズ名:研修ノート)の眼科版です。A5判ですが、分厚いためポケットには入りません。 

 

文章が主体のため、診療の合間に読むってよりは、机で勉強する時の読み物的な使い方になると思います。

 

大学院や留学の勧めや、研修時の心構えや姿勢などのコラムも載っており、なるほどこういう考え方もあるんだな!と参考になります。

 

初期に読んで以来ご無沙汰ですが、後半の方に保険書や診断書の書き方などが載っていたような気がして、読み返したい一冊であります。

 

 

 

 

3.プライマリ・ケア医&救急医のための眼科診療ガイド

ポケットサイズの一冊。全科救急や眼科一般外来でよく出くわすような代表的な疾患の概説、検査、治療などについて1~2ページにコンパクトにまとまっています。

 

目薬についても詳しく、特に巻末の「目薬のフタ一覧」が非常にユニークで、いまでも手元にあると心強いです。目薬のことをフタの色でしか認識していない患者さんが大半なもんで。

 

非眼科志望医にもオススメしたい一冊なのですが、残念ながら絶版中なのですよね。

 

2015年の本で、あれから目薬も続々と新しいものが増えているため、ブラッシュアップを心待ちにしております。

 

 

 

 

4.眼科診察クローズアップ 

眼科診察クローズアップ

眼科診察クローズアップ

  • 発売日: 2014/03/25
  • メディア: 単行本
 

病棟実習や初期研修では身につける機会のない独特な眼科診察についてまとまった一冊です。

 

眼科医を志した者は、まず細隙灯顕微鏡(スリット)の使い方から覚えていくのですが、最初は何を見ればいいか分からないから何も見えてこないんですよね。

 

「この疾患であればどういう所見が見えてくるのか」「その疾患を疑うならば何を探せばよいのか」について助けになると思います。大判でかさばりますが、最初のうちはぜ是非とも持ち歩きたい本ですね。

 

スリットといえば、 眼科診療の基本! 細隙灯顕微鏡スキルアップ も良い評判を聞きます。 私は不勉強でまだ読めてないのですが、スリットは奥が深いと言いますし、慢心しかけてきた頃に読みたいと思っています。

 

 

 

 

5.眼科外来処置・小手術クローズアップ

眼科外来処置・小手術クローズアップ

眼科外来処置・小手術クローズアップ

  • 発売日: 2014/02/03
  • メディア: 単行本
 

麦粒腫の排膿や睫毛抜去などから硝子体注射やレーザーの打ち方まで、外来で行える処置について広く掲載されている本です。クローズアップシリーズはいずれも取っつきやすくて初学者にオススメできます。

 

持ち歩いたり読み込んだりするほどではありませんが、不意にチャンスが訪れたときにコッソリ予習できるよう机に常備しておきたい一冊であります。

 

掲載されているやり方はあくまで一例で、細かいやり方はその施設での流儀に合わせましょう。

 

 

 

 

6.眼科プラクティス (4) 眼科所見の捉え方と描き方

眼科プラクティス (4) 眼科所見の捉え方と描き方

眼科プラクティス (4) 眼科所見の捉え方と描き方

  • 発売日: 2005/09/01
  • メディア: 単行本
 

検査の見方も分かってきた! 所見もとれるようになってきた! 成長を感じてくると上級医から有り難い言葉を頂戴します。

 

「じゃあカルテ描いといて」

 

 

 

これを…………カルテに……? どうやって……??

 

 

液晶タブレットあるいは紙を前に、行き詰まった漫画家あるいはイラストレーターのように手が止まった経験は眼科医なら誰しもあるでしょう。

 

どこに何をどんなペンで何色で描けばいいのか、実はルールがあります。

しかし、眼科カルテの描き方について体系的にまとまった本はなぜか少ないです。2005年の本ですが、他に代わる本を探せないため紹介させていただきました。

 

眼底を見れているかの試金石、いっぱしの眼科研修医になれたかの登竜門である「剥離チャート」についての描き方の項は何度も読み直しました。

 

是非とも一読してもらいたい一冊なのですが、2021/02/01確認時点ではいずれの通販サイトでも品切れでした・・・。

 

眼科カルテは電子タブレットで描く時代、紙と色鉛筆を用いた表現技法は不要となりつつあるのかもしれません。更には眼底の隅まで高画質な写真を残せる時代でもあり、もはや手書きの所見より一枚の写真の方が確かな説得力があります。

 

このまま失われていくのか。まだまだ需要はあると思いますが。何か代わる本があればご教授いただきたい!

 

 

 

 

7.眼手術学 5 白内障

眼手術学 5 白内障

眼手術学 5 白内障

  • メディア: 単行本
 

眼科といえば白内障白内障手術に始まり、白内障手術に終わる。 

 

白内障手術は、眼科一年目でも完投できるのに、その道ン十年の大ベテランですら手を焼きます。本ッッッッッッッッッッッッ当に奥深い手術です。

 

小さなカプセルに詰め込まれるのは脈々継がれる技術の粋、歴史と叡智、技術の結晶。

 

研修医の始めは助手としてとりあえず座ってるだけ。適切なタイミングで水をかける単なるリズムゲームになりがちですが、早くから手術について学ぶことをオススメ致します。

 

術者が当たり前のように、簡単そうにやっている一挙一動に泣けてきます。

 

白内障についてはいくつも名書があるでしょうが、この本が網羅的かつオーソドックスで規範となるのかなと思っております。

 

 

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8.緑内障診療ガイドライン解説 緑内障診療テキスト

緑内障診療ガイドライン解説 緑内障診療テキスト

緑内障診療ガイドライン解説 緑内障診療テキスト

  • 発売日: 2018/10/12
  • メディア: 単行本
 

眼瞼、涙道、前眼部、角結膜、ぶどう膜、網膜硝子体、糖尿病、神経、小児、斜視弱視、ロービジョン、腫瘍、眼窩・眼形成、屈折異常・コンタクトレンズ………など、眼科のサブスペシャリティは数ありますが、なかでも白内障の他に挙げるとしたら緑内障なのかな、と思い取り上げました。

 

緑内障は日本人の失明原因の第1位の病気(2020年時点)です。平均寿命の伸びに伴い経過が長期化することが懸念されており、しかし眼科医の適切な介入があれば予防できる可能性が高い疾患です。

 

糖尿病は内科の先生のお力と本人の努力に依るものが大きいですし、網膜色素変性症は有効な治療法は確立されていません。加齢黄斑変性は抗VEGF薬の登場により希望の光が見えてきているのかな。

 

どの道に進むとしても、緑内障は避けて生きていくのは不可能でしょう。ならば早くから学んでいたほうが良いに違いない!

 

この本は2018年のガイドラインに基づき、緑内障についてカチッとした感覚で学べます。点眼も手術も検査も多大に渡るため、成書でじっくり文字を読み、画像を味わうのがオススメです。

 

何冊か緑内障関係の本を読みましたが、いちばん記憶に残ってるのがコレですね。お値段もお手頃です。

 

 

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9.今日の眼疾患治療指針 第3版

今日の眼疾患治療指針 第3版

今日の眼疾患治療指針 第3版

  • 作者:大路 正人
  • 発売日: 2016/10/24
  • メディア: 単行本
 

私のバイブル。中学国語辞書より重量あります。

 

眼科をやっていれば出会うであろうあらゆる事象が詰まっていると思います。一人出張先で思わぬ”重症”と出会ってしまったときに手元にあると精神を安定させられます。重かろうとも、かさばろうとも持ち歩くべき一冊。

 

領域ごとに疾患、概説、機序、症候、所見、必要な検査、治療法、フォロー方針などがまとまっております。手術手技については流石に詳しくありませんが、検査法や解釈についても載っており、大いに助けられています。

 

基本的な専門用語や解剖の理解があれば文章は意外と難しくないので、病みえの次に読むのも全然アリだと思います。相応のお値段はしますが、得られるものはそれ以上と保証します。

 

 

眼科研修医はコレを買っておけば間違いありません。

 

 

この本を軸に、「眼科プラクティス」や「専門医のための眼科診療クオリファイ」や「眼科臨床エキスパート」や「OCULISTA」などで分野ごとに補強していくのが良いと思います。紹介順に古→新です。

 

(参考リンク)

Amazon.co.jp: 眼科プラクティス: 本

Amazon.co.jp: 専門医のための眼科診療クオリファイ: 本

Amazon.co.jp: 眼科臨床エキスパート: 本

Amazon.co.jp: MB OCULISTA (オクリスタ): 本

 

 

多分これが一番早いと思います。

 

 

 

 

10.ヤンキー君と白杖ガール

ヤンキー君と白杖ガール 1 (MFC)

ヤンキー君と白杖ガール 1 (MFC)

 

個性出していかないとね。

 

実はガチ中のガチで、眼科を名乗るなら絶対に読まねばならない漫画と思っています。

 

ヤンキー少年が弱視(ロービジョン)の少女に出逢い、仲を深めていく過程で弱視(ロービジョン)の人々の生き方について知っていくというストーリーの漫画です。

 

ライトなラブ&コメディに織り込まれる、作者の身内の体験を基にした「日常」描写が深く、見えづらい人々の気持ちや心情、社会に適応していくための工夫や努力などを学ぶことができます。

 

 

 

眼科研修医として働いたことのある人はわかってくれると思いますが、眼科医って多忙です。外来・病棟・手術場を忙しなく駆け巡り、気づいたら一日が終わっています。

 

他の医療職からみると定時に帰るイメージを持たれているかと思うんですが、まぁそれは確かに事実ではあります。しかし逆に言えば、定時までにすべて終えねばならないのですよね。

 

基本的に入院は取らずに外来で済ませるので、患者さんがいる間に決着をつけなければならない。検査も専門の職種(ORT)の協力が不可欠。医者だけいても仕事にならんのです。

 

多忙な業務に適応すべく、スキルを磨き最適化していけばいくほど、患者さんにも無言の圧力でそれを求めてしまっているのではないかと自省する日々です。患者さん一人ひとりに寄り添う時間を取れていない。満足いく医療を提供できていない。

 

それも仕方のないこと、と割り切るには私はまだ若いと思ってます。なので、足掻けるうちは足掻きたい。

 

 当事者の声より強いものはありません。

 

学ぶ方法は本に限らない。よくある説教じみた結論ですが、事実”そう”なので仕方がないですよね、それこそ。ありとあらゆる事象が学びの対象なのです。

 

その手がかり、足がかりとして、一歩を踏み出すための一冊としてこの本を紹介させていただきました。

 

ちなみに感想文は別記事に既にまとめております。みんなもTwitterを開いて#ヤンガルのハッシュタグでチェックだ!

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まとめ

 目のイラスト(人体) | かわいいフリー素材集 いらすとや

というわけで、眼科研修医になると決めたら読むべき10冊を紹介させていただきました。久々にちゃんと自分の文章を書いたよ。

 

手元に本がなく、ふわっとした紹介になっている気がしますが、いずれ読み直しつつ追記していけたらなと思っております。

 

俺たちの眼科道はまだ始まったばかりだ!!!

 

 

 

2021/02/01 暫定版を提出。約7800字。執筆時間:4h

 

 

 

 

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