幼き頃の「小惑星を見つける」という約束を胸に秘めた二人が、高校で運命の再開を果たしたところから始まる物語です。入部を望んでいた天文部は弱小のため既に廃部、同じく弱小であった地質研究会と合併し「地学部」となっていました。各々のテリトリーである天文班と地質班で二分され、若干の不和を抱えた部員たちが、部の活動を通じて学問的にも人間的にも進んでいく、人間関係~~~~~~って感じのエモアニメです。
視聴方法はバンダイチャンネルを利用しました。
無料お試し期間に完走できなかったため、自然に課金ユーザーになってしまいました。次の締め切りが近いので重い腰を上げた、そんな感じです。書き上げたら解約するぞ!私は既にアマゾンプライムとdアニメストアの顧客なので!
なお、感想文の執筆時(2021/04/29)にはdアニメでも配信されてました。「再配信ありがとう」とのコメントが見られたので、私が見ようと思ったときには確かに配信されてなかったのでしょう。
まぁでもこの作品はコメント無しでじっくり見るべきアニメかなと思います。
原作は漫画で、『まんがタイムきららキャラット』にて現在も連載中です。
アニメ制作は「動画工房」です。2020年1月-3月にかけて放送されており、私もリアルタイムでも視聴していたのですが、7~8話あたりでフェードアウトしてました。
初手言い訳させてもらうと、1クールでもアニメを完走に至ることは相当なモチベーションがないと難しいです。私は労働基準法を守らない業界で仕事をしているため(それでも定時退社が可能な時もある方)、自由に使える時間は少なく、他の誘惑も多いですので。アニメは視覚と聴覚と時間と感情を費やす必要があるコンテンツなので、人生の可処分時間はかなり限られてしまいます。
フェードアウトするくらいなら面白くなかったんじゃないか、いやいや面白く見てました。でも、アニメ後半ってちょうど期変わりで仕事も苛烈になりがちですし、少し積んでたら休む間もなく次のクールのアニメが放送されてしまいますからね。予約パンパンな外来みたいなものですね。
あ、あとほら、少し話は逸れますが、ゲームでも終盤に入ったと感じたところで”飽き”が来ませんか? あと少し進めればクリアできる。でも、もういいかな。なんか、逆にクリアしたくない。ED見たら本当に終わっちゃうし。終わらないことを終わりとしたい。そんな気持ちで途中で投げ出したゲームや漫画、アニメ、たくさんありませんか?あるよな??
アニメは終わりを迎えても原作は続くので、物語が終わるわけではないのですが、アニメの方でもおよそ一区切りとなるべく話を調整してるため、そこはかとなく「終盤感」を出してくるじゃないですか。この気配を敏感に察知して、フェードアウトを図る自己防衛なのでしょうね。心が、感情が、傷つかないように…(何から?)
しかし、ここ近年の「五等分の花嫁」「ハイキュー!」「進撃の巨人」などの完結の流れ、私は未視聴ですがエヴァもですね。他にもいろいろな「卒業」を経験して、「ちゃんと終わらせること」へ向き合わないとな、と思いました。よって、見たまま思うがままに感想文を書きなぐっております。一種の終活です。
さて、終活としても、こうして放置していた一年前のアニメをなぜ今見直そうと思ったかですね。それは下記のようなモチベーションの高まりでした。
私は植物と戯れたかったよ…… 植物は喋らないから…… 人間と話したくない…… 虫と疎遠になったのは嬉しいけども……
— かたぐら子 (@cat1021gla) 2018年10月1日
仕事に疲れ、人間に疲れ、無機物のことを考える時間が増えた。
— かたぐら子 (@cat1021gla) 2021年3月2日
晴れて医者辞めたら鉱物屋さんになりたいな
— かたぐら子 (@cat1021gla) 2021年2月5日
鉱物は喋らないから良い。
— かたぐら子 (@cat1021gla) 2021年2月5日
もともと生物を相手にする仕事をしてるのですが、ずっとやってると生物に疲れちゃうんですね。ましてこのコロナ禍なので。無生物を愛でたい気持ちが日に日に増しております。
星に憧れる子供だったんだよな。天体じゃなく人間を相手にしなきゃいけない宿命のため、せめてもの球体つながり眼球に甘んじてる。そういうことだったんだ。 https://t.co/XzpQMDM5At
— かたぐら子 (@cat1021gla) 2021年1月18日
薄れゆく人間性のなかで、己の原点を思い出したのです。星を探そう。
満月が好き。
— かたぐら子 (@cat1021gla) 2021年3月1日
視神経乳頭に見えるから。
カメラやレンズを使って眼の奥を覗く仕事をしてるのですが、これって天体観測に似ているなと。
私のなかでのモチベと天体と鉱物のどちらも扱うこの作品が見事にマッチしたのです。
だから、見ました。この記事を書きながら2周目をしております。
きらら×動画工房…と言えば分かる人は約束された勝利を確信するものですが、この作品は全体的に温度低めに淡々と構成されております。一人、狂言回し的なハイテンションなキャラがいますが、明らかに浮いて見えます。これも『ゆるキャン△』以降と評される流れの一つでしょう。
まず基本的なお話ですが、「少女×○○(似つかわしくないギャップのある何か)」モノの歴史は長いです。私がパッと思い起こせる範囲で辿ると「少女×戦隊シリーズ」の『セーラームーン』や「少女×ギター」の『けいおん!』がそれぞれ大きなターニングポイントにあると思えます。
近年のアニメ史においても、やはり『けいおん!』の存在はクソデカすぎて語ると終わらなくなるので言及を留めますが、あえて一言で言い切ると世界を「日常系」へ転換させました。
物語のスケールが小さくなり、ボーイミーツガールの大冒険もなくなり、むしろ男性キャラは意識的にオミットされ、男女のラブも発展しません。一方で「百合」が加熱した向きもありますが、物語性を収縮させた分、それは百合であったり、派手なギャグであったり、圧倒的なかわいさであったり、露骨なサービスであったり、なにか他のもので埋め合わせてました。
一方で、アニメは深夜に一人でこっそり見るものから皆とワイワイ騒ぎながら見るものにシフトしてきました。オタクの一般化です。
決定打は『ラブライブ!』でしょうね。世間的なアイドルブームと乗じて大ヒットし、出演声優が紅白で歌唱するほどの人気ぶりを遂げました。男女問わず受け入れられた背景に、深夜アニメにありがちなセクシャル要素を排除をしたからと考察されています。確かに以降のヒット作品を見ても、男女ともに支持されることが必要条件な感がありますね。
これまでの「日常系」「オタクの一般化」「セクシャル要素の排除」の流れに、世間の「チル」なムード、アウドドアブームなどと併さって浸透したのが『ゆるキャン△』です。
この作品は、温度を低めに、話もキャラも動きも演出もアニメアニメしておらず、フィクションとリアルの垣根がなく真に「日常」と錯覚させるような作りになっております。普通、アニメを観る層は同じ原作の実写ドラマ化を生理的に受け付けないものですが、この作品に関しては好意的に受け入れられているんですよね。新たな転換期を迎えたと感じさせる作品でしょう。
『ゆるキャン△』以外にも、オタクの高齢化が背景にあるのか、近年は「少女×おっさん趣味」がどんどんどんどん掘り進められております。
今は「女子高生の日常」ではなく「女子高生の皮をかぶったおっさんの日常」が求められているのですね。ちな、おっさんがおっさんのまま日常をやる漫画として「1日外出録ハンチョウ」が熱く支持されてます。
また、近いジャンルとして、雑学やうんちく要素の漫画も流行ってる(流行っていた?)気がします。代表的なものが『だがしかし』ですね。これは昔ながらの王道ボーイミーツガールなのですが、駄菓子のうんちくを元にショートストーリーが展開され、読んでるうちに謎に知識が備わっていきます。
小難しい哲学や思想の「漫画で読む」系の流行もありましたし、漫画に実用性を求める需要があったのかもしれません。話も作りやすいですしね。
「チル」「オタクの高齢化」「雑学」「実用性」といった近年の流れに「少女×地学」をテーマにした『恋する小惑星』は属するといえるでしょう。
長々と歴史を語ったところで、各論に移りましょうか。
2話では、河原の石集めと天体観測をします。まだ急に合併させられた天文班と地質班との不和があった頃ですが、それぞれの活動を体験して互いの良さを認識し仲を深めていくのが、、、、、良いってなりますね。
わかりみ・・・。
バシッと映せたとき、見えたときの感動、ありますよね。
4話は夏合宿で様々な施設を訪問する回です。関東の実在の施設で作者が取材してきたものが元となっています。いろいろ自由に行動できるようになったら行きたいな…。
5話は鉱物回。さくら先輩とミネラルショー行きたい人生だった。ミルフィーユに地層を見出すのは職業病ですよね。解剖も層構造が重要。層がすべて。
6話は文化祭。前話から続き、将来やりたいことが見つからないことに悩むさくら先輩のお話。 いろいろ諦めがちだった彼女が人と協力してもらえるように成長した姿がエモttttt ちゃんと部活イベントをやってるの、最近のアニメだと意外と珍しくないですか? あ、この作品に同年代の男が存在するんだ、と分かる回でもあります。
文化祭っていいですよね・・・私も学生の頃は・・・・・・? ん? 記憶が・・・?
7話は部長交代回&天文回。アレガ、デネブ、アルタイル、ベガ。新部長となったイノセ先輩が頑張る姿が頑張れってなります。主人公交代だったりで、作中でバトンが継承されていくのって良くないですか? ジョジョしかり、アイカツしかり。SHINING LINE*を繋いでいくべきなんだよな…
8話、地学オリンピック回。色彩検定を受けたときを思い出しました。会場にいる人はライバルであり、同士である。同じ分野に興味のある人がこんなにいるんだ!といった感動を味わえます。
地学オリンピック、本当にあるんですね!
こういう発見をしたいから地学を学びたいな。
10話は新入部員。EDでずっと出てた子がようやく本格参入ですね。新たに気象学が加わりました。地質班も鉱物、パワーストーンから占いに派生し、どんどん世界が広がっていきますね。これが学問の良さ。
11話。舞台が沖縄へ。新たなキャラも増え、第二部開始、みたいな。いよいよクライマックスみたいな、ラストダンジョン!みたいな。ここで脱落したくなる気持ちをぐっと抑えて視聴しました。
選抜チームでプロジェクト!みたいなの自分もむか~~し経験したことあったなぁとしみじみしちゃいました。小学生の頃ですかね。ちょっと前だと研修医で集まるみたいなもあったか。こういうので人脈を広げられる人間でありたかった。
眩しいな、若いな、いいな、すごく、つらい、気持ちになりました。
映画だったらかなりエモエモな演出にしてもよいでしょうに、現実は割とこういうもんだよね、といった感じなお話になります。でも、こういうのが、いいよね。
12話。
俺を置いていくな。勝手に終わるな。
はぁ・・・なかなか書き上げられなくて2周目も終わってしまいました。
いやぁ・・・・・・良い作品ですね。
今後は原作をフォローしていこうと思います。アニメでカットされた部分も多いようですし。
地学ネタと部活モノの塩梅は半々くらいで、あまり薀蓄に傾倒してなかったですね。あくまで学んでいくのは自分自身でといった感じで、興味を深める楽しさを表現した作品だと思いました。
いやぁ・・・・・・良い作品ですね。
学びを深めていきたいと思います。『宝石の国』『宙のまにまに』も観たくなってきました。『宇宙兄弟』もちゃんとは読んでないんですよね。時間がほしい。
『瑠璃の宝石』1巻を読みました。女子高生と大学院生が”石拾い”するニッチな漫画。化学や地学に地理や歴史の知識を総動員して鉱物採集する姿に、我が眠りし理系魂が刺激される。 pic.twitter.com/K3XKGQHnjk
— かたぐら子 (@cat1021gla) 2021年2月28日
まずは一冊。
▼参考サイト
2021/04/29 約5700時 執筆時間5h